今更聴けないインターンシップの歴史と目的。「ワンデー仕事体験」はインターン?

長期インターン

今更聴けないインターンシップの歴史と目的。「ワンデー仕事体験」はインターン?

みなさん、もう夏の予定はたてましたか? さらにいうと、夏休み中にインターンに参加しようと考えていますか? 「就活生の夏はインターンで決まる」というような類の文句もよくみるようになるほど一般的になったインターンですが、 「ぶっちゃけなんとなく流されるままやっている」と言う人も多いはず。 しかし就活において履歴書を埋める以上に、インターンでは様々なことを学べる貴重な機会であるのも事実です。(基本的には学生の間しか経験しませんし) その効果を最大化するためにも、インターン参加には目的を持って臨みたいものです。 今回は、インターンという制度の歴史の話から、現在におけるインターンの役割を解説し、 今夏参加するべきインターンの目的の整理をしていきます。 ## インターンシップの歴史 さて、まず問題です。インターンシップは、どれだけ昔からあると思いますか? * A : 20年ほど前 * B : 100年ほど前 * C : 1000年ほど前 自分なりの予測を立ててから読み進めてみてくださいね。 ### インターンシップとは まず、インターンシップの定義から。 ``` インターンシップ(英: internship)とは、特定の職の経験を積むために、 企業や組織において労働に従事している期間のこと ``` 参考文献:[wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97) 職業経験を積むために、学校や職業訓練校ではなく実際の仕事の現場で実務ベースで学ぶことをインターンシップと呼ぶようです。 しかし、このインターンシップ。歴史的にも、地域的にも、あり方は大きく変わっているようです。 ### インターンシップの始まり――職人ギルドの見習い制度 近代のインターンシップ制度は、11世紀にギルド組織(商業組合)で始まった見習い制度の遠い親戚と考えられます。 この時代、農法や技術の発展により少人数でも農業ができるようになりました。その結果、農家になる予定だった10代半ばの青年たちはその必要がなくなり、代わりの仕事を学ぶためギルド長にお金を払って"見習い"となりました。 日本では江戸時代によく行われていた丁稚奉公と近いイメージでしょうか。 見習い期間は10年ほど住み込みで、結婚もできなければ給料もでなかったそうです。 見習い期間を終えると、ギルドのメンバーとして一端の職人となり、自分の賃金を稼ぐようになりました。 この見習い制度が、職業に着くまでに実務経験を積むという意味でインターンシップの元と考えられています。 ### 産業革命による労働者と資本家構造 ―― ギルド徒弟制の崩壊 その後、この制度は産業革命によって変化を迎えます。18〜19世紀では見習い制度に変わり、工場勤務のための技術が必要とされるようになりました。 仕事を学ぶ相手もギルド長から雇用主に変わり住み込みもなくなりました。作業全てを学ぶのではなくほんの一部を学べば工場では事足りるため、 見習いの期間も大幅に短くなりました。機械工や大工の見習いたちは仕事を学び、事前に決められた賃金を受け取り、職人の一人となるか労働組合の一員となりました。 ### 大学生の就職活動へ ―― 産官学連携のインターンシップ さて、私たちが知っているような、学生が仕事を学び社会経験を積むために職業体験をするインターンシップは、20世紀に入ってから始まりました。 1906年のアメリカ、シンシナティ大学。工学部長のヘルマン・シュナイダー博士が草案した実務体験と学校教育を交互に行う仕組みを取り入れ、 卒業時点で経験を積んだ状態になることを目指したことが始まりと言われています。 "インターン"という言葉がアメリカで初めて出てきたのは1920年代の医学部学生。1960年代には、政府と経済界がインターンシップという言葉を用い、 大学と互いに連携するプログラムを開始しました。しかし、まだまだこの頃はインターンシップは学生内でも一般的ではありませんでした。 アメリカでも、1980年代になってもインターンシップを終えた学生というのは3%しかいませんでしたが、1999年にはなんと80%が経験するまでに普及しました。 日本のインターンシップが広まったのもこのころです。 ### 就活スケジュールの一部に ―― 日本でのインターンシップの普及 日本でも、後に述べる「国家資格受験要件としての職業訓練」という意味合いを持ったインターンシップはもう少し前から行われていましたが、 一般的な就活の中にインターンシップが広まったのは1997年ごろ。バブル崩壊後の不景気による就職氷河期あたりです。 当初のインターンシップはやはり「企業の中にも実施しているところがある」ぐらいでしたが、近年では就活の中で必須と言われるほどになりました。 日本の就活スケジュールは次のように変遷を遂げています。 |学年|スケジュール| |:- |:- | | 〜2012年卒まで|3年の10月1日から就職情報サイトへの掲載が行われていたが、広報活動のルール無し| | 2013〜15年卒 | 3年の12月1日広報開始、4月1日選考開始| | 2016年卒 | 3年の3月1日広報開始、8月1日選考開始| | 2017年卒〜| 3年の3月1日広報開始、6月1日選考開始| ### 就活とインターンシップ ―― ワンデーインターンシップとワンデー仕事体験 インターンのあり方が大きく変わったのは2016年卒、就職解禁時期が3月になった時。マイナビ・リクナビなど大手メディアの就活求人掲載開始が3月1日へと後ろ倒しになりましたが、 逆に三年生6月からのインターンシップサイトが立ち上がり、掲載企業数も一気に広まりました。 このインターンは就活解禁の後ろ倒しによって実質的な選考期間が短くなり、企業と学生の接点が少なくなったスケジュールの埋め合わせという側面は否めません。 この時のインターンシップは、6月〜8月のサマーインターン、9月〜2月のオータム・ウィンターインターンと分かれていましたが、 特にオータム・ウィンターインターンに多かったのが **1dayインターン(ワンデーインターン)** です。 インターンと名前はついていますが、本来の"職業体験"といったものではく、業界研究セミナー+自社説明会といった形式のものが急増しました。 インターンと言いつつも1日では就業体験を含むことができない実態、その一方で "就活のためにインターンにいかなければ"という強い認識もあり、 「ワンデーインターン」は不適切ということで経団連は2022卒の就活からこれを禁止したのです。 その禁止を受けて、ワンデーインターンシップに変わり新たに登場したのが ***「ワンデー仕事体験」*** です。 一部就活メディアにおいて、就業体験プログラムが担保されるような(従来の)1日インターンを「ワンデー仕事体験」という名称として掲載するようになりました。 これによって、もうインターンを探している人はみているかもしれませんが、**インターンシップ・仕事体験**という長い名称が生まれたのです。 ## 目的別・おすすめインターンシップ さて、歴史と共に様々なインターンシップがあることを確認してきましたが、 最後に読み物だけではなく実際に役立つインターンシップの探し方に触れていきます。 大まかな区分ですが、どのインターンシップに参加したらさっぱりわからないという方は参考にしてみてくださいね。 ### 企業理解や業界理解を目的としたインターン * おすすめ検索軸:ワンデー、数日〜1ヶ月のインターン 企業研究や業界研究の一環として参加するインターンの場合、情報のインプットをすることが主な目的です。 実際の職場を体験することで、企業説明会よりも理解を深めることができるでしょう。 もしまだ業界を絞り切れていないのであれば、ワンデーで開催される業界研究セミナーに参加するのも良い手段です。 情報収集段階だと、長期インターンに絞るよりもいろいろな企業で複数の短期インターンを経験してみると 様々な意見に触れられて良い経験になるでしょう。 ### 仕事経験を積んだり、社会人の実際の仕事を体験するインターン * おすすめ検索軸:3ヶ月以上の長期インターン 営業の商談って実際どうやるの?エンジニアってどのように開発をしているの?という実際の現場を知ることを目的とする参加です。 この場合は、カリキュラムの組まれたインターンシッププログラムよりも、実務を経験できる長期インターンが良いでしょう。 1ヶ月以上の長期に渡って開催されるインターンシップの場合、アルバイトや業務委託契約を結び、給与をもらいつつ実際に働いてみるインターンも多いです。 他の先輩社員と同じように仕事体験ができるので、職種ごとの理解はもちろん企業理解も深めることができます。 ### ビジネスの地力を鍛えるインターン * おすすめ検索軸:ビジネスコンテスト、1ヶ月以上のインターン どこへ行っても通用する地力を固めることが重要だと考える方向けのインターンも存在します。 1ヶ月や数週間の短期集中型プログラムによるビジネスコンテストやハッカソンインターンでは、 選考でおこなうグループワークよりもさらに企画を深く練る必要があり大変ですが、優秀者に賞金がでることも。 また、実務を通じて力をつけるという意味では実践的な長期インターンもおすすめです。 ### おまけ:特定の資格取得や企業への就職に必須なインターン * おすすめ検索軸:受験・選考の要綱を読みましょう 医者になるための研修医制度や、教師になるための教育実習制度は、一般的な就職活動とは異なりますが 本来の意味での"インターンシップ"といえるでしょう。 美容師や理容師も、かつては1年以上のインターンを経験しないと国家資格を受験できないという制度がありました。 ``` ※理容師・美容師免許の取得の歴史 かつては受験のために1年の通学と1年のインターン経験が必要でしたが、 法律が平成7年に改正(平成10年施行)された結果、理容師国家試験・美容師国家試験の受験にインターンは必須ではなくなり、 その代わり養成施設(専門学校)で学ぶ期間が1年から2年に伸びたようです。 ``` また、選考フローの中に自社でのインターンを置いているものもあります。 この場合、入社のためには当該企業でのインターンが必須となります。 ## まとめ 今回は「そもそもインターンとはなんなのか」という話から、インターンの歴史から現在における位置づけ、 そして、目的にあったインターンの選び方を紹介いたしました。 CheerCareerでは通年インターンを募集している企業や就活をサポートする選考体験談、イベントなど就活生が力をつけるためのコンテンツを多く用意していますので、夏に向けて是非活用してみてください! * [インターン・仕事検索はこちら](https://cheercareer.jp/register?key=f435ecf0aa23069a3fb789817d10511e) * [就活生による選考体験談はこちら](https://cheercareer.jp/selection_reports?key=f435ecf0aa23069a3fb789817d10511e) * [就職イベントはこちら](https://cheercareer.jp/event?key=f435ecf0aa23069a3fb789817d10511e) 最後に一応念のため冒頭のクイズについて。 読んでいただいた通り、正解は"全部"です。 インターンシップの始まりをどことするかの定義による、というずるい問題でした。
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参考文献 TAYLOR RESEARCH GROUP | A Brief History of the Internship (2014/2/4) https://www.taylorresearchgroup.com/news/2017/4/5/a-brief-history-of-the-internship 日本経済新聞 | 1日インターン廃止、経団連「宣言」に浮かぶ限界 (2020/2/21) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55716800X10C20A2EE8000/ 日本経済新聞 | マイナビなど学生向け「1日インターン」取り扱い中止 (2020/3/19) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57010440Z10C20A3XS5000/
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Showgo
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