内定なし、就活がつらい人へ…「継続?進学?就職浪人?」、正解はこれだ!

市況分析

内定なし、就活がつらい人へ…「継続?進学?就職浪人?」、正解はこれだ!

2020年3月以降、新型コロナウイルスの影響で、
新卒の就職環境は「売り手市場」から「買い手市場」に激変しました。

この記事は、

  • 大学4年生・大学院生は、現在の経済&就職環境を知り、今後の選択の参考にしてほしい
  • 大学1~3年生は、現在の経済&就職環境を知ってほしい という思いを込めて書きました。

それでは本題です。

コロナ禍で増えている就活相談

8月に入り、今年の就活スケジュールも後半戦に突入しました。
それに伴い、今後の就活のやり方に関する相談が増えています。

主な内容は…
・就活がうまくいかない

  • 就活がつらい
  • 就活のやり方を教えてほしい
  • 早く内定がほしい というもの。これらは、毎年よくある相談内容です。

さて、ここからが重要なところです。
今年、例年以上に多く寄せられている質問が、以下の2つです。
1. 就職浪人をした方が良いか?
2. 大学院に進学した方が良いか?

新型コロナウイルスの新規陽性判明者数が増え、大手企業が内定を取り消したり、
採用活動を中止した頃から徐々に増えだしました。

現在のコロナ禍での経済状況

2020年8月17日、内閣府が発表した2020年4~6月期、国民所得統計1次速報によると、
実質国内総生産(GDP)は前期比で▲7.8%。このままの状態が続いたと仮定した場合、
年率換算では▲27.8%となり、現行の基準では1980年の統計以来、最大の悪化。
また、このGDP年率換算▲27.8%は、戦後の統計開始以来、事実上、最悪の落ち込みとなりました。

現在のコロナ禍での(新卒)有効求人倍率

2020年8月6日、リクルートワークス研究所の発表によると、
2021年3月・大学(院)卒業予定者の有効求人倍率は1.53倍(6月調査)と判明。

1年前の2020年3月・大学(院)卒業予定者の有効求人倍率は1.83倍だった為、急落傾向ですが、
バブル崩壊後の同・有効求人倍率0.99倍、リーマンショック後の同・有効求人倍率1.23倍と比較すると、
まだまだ高水準だと言えます。

今後の経済&(新卒)求人倍率予測

現在、新型コロナウイルスは、PCR検査の増加に伴い、新規陽性判明者数は増加傾向にあります。
よって、終息の見えない五里霧中のような状態です。今後の経済を予測するならば、現在は下り坂の途中、
つまり今後も下り坂をくだる、経済状況は悪化の一途をたどると思われます。

同様に、有効求人倍率も悪化の一途をたどるでしょう。
その根拠は、過去の歴史が物語っています。例えば、2008年、リーマンショック。

<大学(院)卒業予定者・有効求人倍率>
2009年3月卒業2.14倍(バブル崩壊後・最高値)
2010年3月卒業1.62倍
2011年3月卒業1.28倍
2012年3月卒業1.23倍(リーマンショック後・最低値)
2013年3月卒業1.27倍

2016年3月卒業1.61倍(リーマンショック発生翌年の水準まで回復)

※参考:有効求人倍率は、リクルートワークス研究所発表の数値を使用

上記、見ての通り、リーマンショック後すぐに最低水準には至りません。
理由は、まず経済が悪化し、その後、時差があり求人が悪化するからです。
よって、リーマンショックから3年遅れの2012年3月卒業(1.23倍)で、就職市場は一番厳しい時期がやって来ました。尚、この傾向は1991年バブル崩壊後も同じで、5年後の1996年3月卒業1.08倍が最低値となっています。

このことから推測すると、就職市場は今後も冷え込みます。もう少し具体的に予測すると、
2023年3月、2024年3月卒業者あたりまでは悪化の一途をたどる可能性が高い。
つまり、就活生にとっては、内定が取りにくい厳しい時代を迎えることになります。

もし、この推測よりも状況が早く改善されるとしたら、

  • これから1年以内にワクチンが開発され、
  • そのワクチンが世界的に普及し、
  • さらに仕事や旅行で国をまたぎ移動する人が増える。 これらの条件がすべて満たされた時だけでしょう。

大手とベンチャーの採用変化

ここでは、大手企業とベンチャー企業、21卒と22卒採用を比較し、どのように変化するのかをイメージしてもらいます。
以下の表をご覧ください。

大手企業 ベンチャー企業
21卒採用 100名 10名
22卒採用 10名 1名または採用見送り

ザックリですが、採用人数は表のように変化します。大手企業もベンチャー企業も採用人数は減少する。
また、表にはありませんが、人気企業の採用人数も同じく減少傾向となります。
要するに、内定を獲得するための競争は、例年以上に激化するということです。

結論

1. 就職浪人をした方が良いか?
結論は、見送った方が賢明です。理由は既述の通り、就活状況は、さらに悪化するから。
22卒向け・夏のインターンシップで内定を貰えたなど、特別な理由があれば別ですが、
無ければ、来年4月には社会人になれるよう、頑張るべきです。

2. 大学院に進学した方が良いか?
結論は、見送った方が賢明です。理由は既述の通り、就活状況は、さらに悪化するから。
理系就職の場合、専門性を高めれば、就職は大丈夫だと考える人が、毎年、一定数います。
専門性を高めることで、就職の選択肢が広くなる、採用される可能性が高まるというなら反対しません。

しかし、現実問題として、そのような就職に直結するメリットの大きい研究は、残念ながら、聞いたことがありません。
もし専門性を放棄し、研究職以外に就くなら、数字に関するセンス、PDCAサイクルが仕事に直結するので、
企業から魅力ある学生に映る可能性はあります。

しかし、その場合は文系学生との勝負となりますので、
明るさやコミュニケーション力など、文系学生に求められている能力をどれだけ持っているかが鍵となるでしょう。

文系就職の場合、大学院進学を逃げ道に利用するなら、百害あって一利なしです。
なぜなら、研究と仕事が直結しないからです。年齢の違いがある分、人事の評価基準は厳しくなります。
ここで、もう少し具体的なイメージをしてもらいましょう。

例えば…
大学生と大学院生
最終面接の結果がほぼ同じ評価
どちらに内定を出すか迷ったら?

一般的な企業であれば、今後の可能性に期待を込めて、若い大学生に内定を出します。
つまり、大学院生になると、大学生よりも高い評価でなければ、内定は貰えないということです。

面接では、どんな質問をされるのか?

ここでは、面接対策もかねて頻出質問を列挙してみました。
将来の自分、面接の場面を想像しながら、以下の質問を確認してみてください。

<就職浪人の場合>

  • なぜ、就職浪人を選んだのですか?
  • 昨年、どんな就職活動をしたのですか?
  • 昨年、内定は貰いましたか?
  • 貰ったのであれば、どこからですか?
  • 辞退した理由は、なぜですか?

<大学院進学の場合>

  • なぜ、大学院に進学したのですか?
  • 大学時代、就職活動はしましたか?
  • したのであれば、具体的に、どんな就職活動をしたのですか?

頻出質問、どのような感想を持ちましたか?

最後に

人事担当者は、上記のようなことを面接の中で、根掘り葉掘り質問します。
そして、矛盾がないか否かを慎重に確かめていきます。

正直、お互いに気持ちの良いものではありません。シビアな面接になります。
私も20年以上、新卒の採用面接に携わっているからわかるのですが、
逃げで、就職浪人や大学院進学を選んだ人は、必ず、どこかに後ろめたさやカゲを秘めているものです。

みなさんは、まだ社会経験がありません。その点では純粋で魅力があります。
しかし、一方で、その純粋さが仇にもなるのです。
純粋な分「逃げ」を隠せず、選考過程において人事担当者に「逃げ」を暴露される。
結果、マイナス評価をされ、厳しい評価につながる。

だから、逃げの浪人や進学は、お奨めしません。
状況は厳しいかもしれませんが、1年後、2年後、就職活動における選択肢やキャリアパスを考慮するなら、
いま就職活動を頑張り、来年春の入社を目指した方が賢い選択です。

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この記事を書いた人
殘間 靖(ざんま せい)

学校と企業、両方を知り尽くした、2つの顔を持つ、新卒就職に関するスペシャリスト。
1つ目の顔は、京都大学をはじめ、全国の大学で就活講座を担当している。また、キャリアセンターの職員に対し、面談や添削指導も行っている。2つ目の顔は年間1200-1300人の新卒面接を行うプロの面接官。この人数は現役人事担当者よりも多い。そして、新人や若手人事に対し面接研修の講師も務めている。

殘間 靖(ざんま せい)のTwitterアカウント

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