「〇〇問題」を解決しなければ、大手企業には就職できません!…あなたは「大手病」に感染しているかも!?

自己分析

「〇〇問題」を解決しなければ、大手企業には就職できません!…あなたは「大手病」に感染しているかも!?

## 0.はじめに
この時期、大手企業への就職を夢見る就活生(22卒)が、とても多い。
目標を高く持ち、それに挑む!
この姿勢は、とても素晴らしいと思います。

でもね、いくら有効求人倍率が1.53倍(リクルートワークス社)と高く、学生有利とはいえ、
皆さんを選ぶのは企業側なのです。

今回、このコラムで、何を伝えたいのか!?

企業側の論理を知らずに
学生側の論理を押し通そうとしている就活生が多過ぎる!

これでは、内定は獲れません!
仮に獲れたとしても、ミスマッチが起き、早期退職なんてことになる可能性がとても高い。

こんな悲劇は絶対に避けてほしい!
そんな思いを込めて書きました。
なので、ぜひ最後まで読んでくださいね!

## 1.「大手企業」の定義
最初に「大手企業」について、定義をしておきます。

今回のコラムでは、
「大手企業=転勤ありの企業」
つまり、「転勤がある企業を大手企業」と定義します。

よって、一般的に言われている、資本金や従業員数での区分けではありません。

## 2.「〇〇問題」とは?
タイトルにあった「〇〇問題」には、漢字2文字が入ります。
何が入ると思いますか?
ちょっと考えてみてください。

答えは「転勤」問題です。

なぜ、この「転勤問題」が重要なのか?
このあと解説をしていきます。

## 3.全国展開している企業の人事制度とは?
どの企業にも人事制度というものがあり、「全国転勤あり」の企業であれば、以下のような区分けが一般的です。

(1)全国転勤可能
(2)地域限定で転勤可能
(3)転勤不可

(1)全国転勤可能
文字通り、全国転勤OKという意味です。

(2)地域限定で転勤可能
例えば、関東地方を選択した場合、「東京・栃木、群馬、茨城、千葉・神奈川・埼玉」の範囲なら、転勤可能という意味になります。
全国展開をしている企業であれば、北海道、東北地方、関東地方、中部地方、近畿地方、中国・四国地方、九州・沖縄地方、のような7区分が一般的です。

(3)転勤不可
転勤をしないという意味です。
もう少し詳しく説明をすると、「転居を伴う転勤はない」という意味です。
よって、居住地は変わりませんが、勤務地は変わる可能性があるということです。

## 4.ここで質問です!

<1>勤務地について、上記(1)~(3)、何番目を選択しますか?
<2>どこまでキャリアアップ(出世)したいですか?

ちょっと考えてみてください。
のちほど解説をします。

## 5.企業側の論理 … 採用比率
先程、(1)全国転勤可能、(2)地域限定で転勤可能、(3)転勤不可、という3つのコースを説明しました。

さて、新卒採用を行う時、上記3つの比率について、考えたことはありますか?
もしかして、採用比率は同じだと思っていませんか?
答えは、採用比率は異なります。

では、質問です。
全体を10とした場合、(1)全国転勤可能、(2)地域限定で転勤可能、(3)転勤不可は、どのような比率になると思いますか?

答えは、だいたい
全国転勤可能:地域限定で転勤可能:転勤不可=7:2:1
の割合です。

もちろん、企業の人員状況により割合は異なりますが、7:2:1が一般的です。
要するに、転勤できる範囲によって、採用難易度が違う。
転勤について条件が厳しくなれば厳しくなるほど、採用枠は減り、採用難易度は上がるということです。

もう少し、具体的にイメージしてもらいましょう!
例えば、50人採用の企業があったとします。

そうすると
全国転勤可能:地域限定で転勤可能:転勤不可=7:2:1

この割合で採用したとすると
採用人数は、全国転勤可能35人、地域限定社員10人、転勤不可5人
と、なります。

## 6.企業側の論理 … キャリアパス(教育制度)
じつは、採用比率と同じように、転勤可能な範囲によって、キャリアパスにも差が設定されています。
簡単に言ってしまえば、各コースによって、出世できる上限が決まっているということです。

(図を挿入)

例えば、今回の例でいえば
・全国転勤可能であれば、役員まで目指せる
・地域限定で転勤可能であれば、課長まで目指せる
・転勤不可であれば、主任まで目指せる
ということになります。

ここで、もう少し具体的に場面想像をしてもらいます。

<前提条件>
・地域限定で転勤可能を選択し入社

そして、35歳、同期で最初に課長に昇進したとしましょう。
そうしたら、あなたの、この会社での出世は、ここで終了です。

36歳以降は
・出世できません。
・基本、年収もアップしません。
・基本的な仕事内容も変化しません。
定年まで、同じ日々の繰り返しということです。

極めつけは、
・自分より仕事ができない社員であっても、
・全国転勤ができ、
・社内試験に合格すれば、
あなたよりも仕事のできない社員が、あなたの上司になるということです。

つまり、全国展開をしている会社で、地域限定社員を希望するということは、入社後12、3年でキャリアアップがストップする。そして、一般的な定年は65歳なので、人生の大半は、出世する社員を見送る。そんな人生を送るということになります。

私が、このコラムで伝えたいのは、
せっかく苦労して入った会社なのに…。
そ・ん・な・人生で、良いんですか?
ということです。

真剣に場面想像してみてください。

## 7.そ・ん・な・夢みたいな話はありません!
キャリア面談で、今回の話をすると、こんな答えがたくさん返ってきます。

・全国転勤可能という設定で選考に臨みますが、本心では転勤は嫌!
・人事が、最初の配属地域は、希望を聞いてくれると言っていたから大丈夫!
・もし、転勤を打診されたら、断るので大丈夫!

最初の配属地域は、希望を聞いてくれるから大丈夫!
たしかに早期離職防止のために、最初の配属希望を聞いてくれる企業は多い。

しかし、これは、あくまでも最初の勤務地に限定した話です。
当然、教育期間が終われば、全国転勤を命じられます。

つぎに、転勤を打診されたら、断るので大丈夫!
基本的に余程の理由がない限りは断れません。

なぜなら、入社時に契約しているからです。
そして、契約に応じて給与を支払っているからです。
当然、転勤不可社員よりも全国転勤可能な社員の方が給与は高いので、断れば、給与搾取、詐欺と同じ扱いになります。

もし、断った場合には、コース制度の変更。
つまり、給与ダウン、場合によっては、降職、降格もあるということです。

私だけは大丈夫!
残念ながら、そ・ん・な・夢みたいな話はありません!

## 8.大手病を克服し、自分に合った企業と巡り会うためには!?
まずは、幻想から早く覚めること!
そして、転勤問題(勤務地)について、確定させること!
なぜなら、転勤問題を解決しなければ、エントリーする企業を決められないからです。

全国転勤OK!
そう覚悟を決めている人は問題ありません。

問題なのは、地域限定で転勤可能、転勤不可を考えている人です。
(一般的に言われている)大手企業に就職できれば、第三者からの見られ方は変わるでしょう。
優越感にも浸れるかもしれません。
ですが、週5日40時間働く、その時間が充実した時間になるのか、苦痛な時間になるのか、
これは価値観によって異なりますが、経験上、多くの人が後者(苦痛)だと感じています。

ハッキリ言います!
全国転勤ができないなら、大手企業は諦めましょう!
ベンチャー企業を目指した方が賢明です!

なぜなら、全国には、優良なベンチャー企業がたくさんあるからです。
ベンチャーの優良企業なら、CheerCareerで探してみてください。
きっと、いままで気づかなかった優良企業との出会いが沢山あるはずです。

最後に、少し補足をしておきます。
転勤問題について。
必ず、親とも相談してください。
毎年、転勤問題の相違から、内定後に辞退に至る例が数多く報告されています。
これは不幸以外の何物でもありません。

季節は秋です。
一部企業では、本選考もはじまっています。
そろそろ、幻想から覚めて、企業選びをしてほしい。
早く目覚めれば、自分に合った企業と巡り会えるチャンスが広がります!
以上、本日のコラムが、少しでも参考になったのであれば幸いです。

この記事を書いた人
殘間 靖(ざんま せい)

学校と企業、両方を知り尽くした、2つの顔を持つ、新卒就職に関するスペシャリスト。
1つ目の顔は、京都大学をはじめ、全国の大学で就活講座を担当している。また、キャリアセンターの職員に対し、面談や添削指導も行っている。2つ目の顔は年間1200-1300人の新卒面接を行うプロの面接官。この人数は現役人事担当者よりも多い。そして、新人や若手人事に対し面接研修の講師も務めている。

殘間 靖(ざんま せい)のTwitterアカウント

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