対面重視だった人事がESの重要性に気づいた話

ES対策

対面重視だった人事がESの重要性に気づいた話

人事嫌いの人事が目指した「対面重視」選考

僕は自分が就活生だった頃、人事という生き物が嫌いだった。

定型的な質問内容に、会社の欠点を一つも語らない胡散臭さ
なにより値踏みするような目が嫌いだった。
それにESというものに対しても「こんな定型質問に対しての回答で人間性なんてわかるか」と非常に批判的な姿勢で臨んでいた。

それから2年後、僕は人事になっていた。
あの忌み嫌う嘘つきたちの仲間入りをした僕は、ESで判断することをせずに、出来る限り全ての人に会おうと日々面接や面談で予定をいっぱいにして、定時が過ぎてから自分の仕事をしていた。
会社が変わり、新卒採用を担当することになってもなるべく多くの人に会い、自分の目でその人たちが自社に本当に合うのかどうかを見極めるんだ、と多くの時間を費やしていた。

しばらくの間、ESというものやプロフィールというものは、スカウトを送る際にしか確認せず、場合によっては面談の直前にプロフィールに軽く目を通すということも多々あった。
「対面重視」を掲げ、なるべく多くの求職者の相談に乗り、人事の知見から何か一つでも役にたとうと対話を重ねることこそが、正しい在り方なのだと信じていた。
初めのうちは、1時間の面談でも自社に合っているかどうかなんて入ってみなければわからないんじゃないか、と頭を悩ませていたところが、二年もすると数分で「自社で活躍できる可能性の高さ」ぐらいは判断出来るようになった。
面談時間の1時間は、悩み相談の段階の人であればまだ価値のある対話は出来るが「入社出来ないのであれば、この時間すら無駄」と思う求職者の方も当然おり、そのたびに「相手の時間をいたずらに奪ってしまった」と罪悪感を覚えた。
特にベンチャー企業であれば、自走能力も含めた思考の流れや、会社という場に求めることがズレていた場合、所謂カルチャーの不一致として選考通過にならないケースがほとんどであるため、そのズレを事前に把握することは重要であり、それは社会経験のない学生ではなく、人事側の仕事なのだ。

これこそが僕が当時「こんなものでわかるはずがない」
と思っていたESの重要な役割なのである。

エントリーシートで本当に見ているところ・見るべきところ
つまり、ESとは「自分の魅力を存分に伝えること」が第一目的ではなく「会社とズレがあるかどうかを見極めてもらうこと」ためにあり、少なくとも「テンプレを当てはめる」ためにあるわけではない。
また、あまりにも自己分析が浅かったり、事業や業界への理解度が浅く、選考に進む段階でない人についてもESで「もう一回考え直してきてね」という意味で落選することもお互いの時間を有効に使うという意味で必要になってくる。
整理してみると以下の通りである。

これからの時代で注意すべきESポイント

では、ESを書く際に改めて何を注意するべきなのか。多くは一般的なES対策でも言われていると思うので、ここではオンライン化の流れの中で特に注意すべき点を三つだけまとめていく。
** ①日本語を正確に**
実は、ESで最初に「足きり」になる要因はこの日本語を正確に使えているかというところにある。
特に、オンライン化が進む中でテキストコミュニケーションの重要度は上がり続けており、テキストで自分の考えていることを正確に伝えられるのかということはこれまでのコミュニケーション能力よりも優先度が上がる可能性すらあるので気を付けて欲しい。

** ②抽象度の高い言葉に逃げない**
裁量権、成長、自由、教育、社会貢献など企業の採用ページにも多い耳障りの良い言葉たちは、ESでも思わず使ってしまいがちだが、これが非常に危険である。
例えば、成長という言葉を聞いて想像することは君と君の友達でも違うだろうなということは想像できるだろう。それが企業対就活生だとなおさらで、ここを具体的に書かなければ「なんとなくそれっぽい言葉使っているんだろうな」と思われてしまうこともある。
色んな意味に捉えられそうなものほど具体的に書く癖をつけよう。

** ③ガクチカよりも、未来のために今頑張っていることを**
これまで頑張ってきたことを誇ることは良い。それは過去の君の努力で手にしたものだから存分に語るべき価値がある。
だけど、「その時の目標」と「これからの目標」は必ずしも一致しているとは限らない。ガクチカとは「その時の目標に対して自分が出した成果(プロセス)」のため、過去の照明はなっても未来を保証するものではない。
今、なりたい姿がある人はそのために今頑張っていることを書くと良い。ほんのちょっとのことでも、未来に進もうとしている人のほうが印象に残るから。
上のポイントを抑えてもESで落ちたときは、
決してあなたのことがいらないのではなく
「会社のカルチャーと合ってない」と人事から判断された可能性が高いので、そういう時は「どうせ会っても無駄だったんだな。時短にしてくれてありがとう」と思えば良い。

あなたと会いたくてしょうがない人たちとの時間に全力になれば、
未来は拓ける。

この記事を監修した人
平塚

代表取締役 平塚ひかる
年間で10万人が利用する就職サイトチアキャリアを運営する株式会社Cheer代表取締役。
新卒で入社した会社を3ヶ月目の22歳で役員に。1年目で営業成績1位、全社MVP。営業・マーケや開発・広報・人事管轄の取締役として従事したのち独立。
第一回日本中小企業大賞三冠・三年連続受賞したのち殿堂入りし、審査員就任。
東京都の【多様な主体によるスタートアップ支援展開事業】分科会審査員を2期連続担当。
意思決定層のジェンダーギャップに取り組む「スポンサーシップ・コミュニティ」発起人を務める。

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