市況分析 2019.10.01
金融と小売は特に注目。日本で進めようとしているキャッシュレス化の話。
最近QRコード決済が流行ってますね。
日本ではOrigami Payという先駆けのベンチャーから
メルペイ、LINE Pay, PayPay, 楽天ペイといったメガベンチャーが参入し、
この秋には1000行以上の加盟銀行に対応予定のBankPayを
日本電子決済推進機構が発表しました。
これが一過性のものになるのか定着していくのかはわかりませんが
キャッシュレス化、という広く捉えると
長年日本が取り組んできた現金志向からの脱却の
追い風になったいると言えるでしょう。
今回は小売決済という、身近な経済の話です。
## 世界のキャッシュレス状況
トップ画像は2016年時点でのMcKinsey/Capgeminiが公開したデータを基にした、
世界の地域別の現金決済と非現金決済の割合です。
もとの画像は[こちら](https://www.visualcapitalist.com/shift-cashless-society-snowballing/)
画像のオレンジの方がキャッシュレス決済ですね。
北アメリカではキャッシュレス比率が52%ともっとも高く、
アジアの先進国だと35%となっています。
データが2016年のものなので、現在の中国におけるAlipay・WeChat Payの普及を考慮すると
現在ではもっとオレンジは大きくなっているでしょう。
世界全体の平均におけるキャッシュレス決済の比率は15%で、
内訳はカードが9.1%、デビット/送金が4.6%、小切手が1.2%となっています。
日本のキャッシュレス決済の比率はどの程度だと思いますか?
正解は、*2割*です。
## 日本の動き
首相官邸で公開されている閣議決定された
令和元年6月21日に閣議決定された
「[令和元年度革新的事業活動に関する実行計画](https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ps2019.pdf)」によると、
> • 2025年6月までに、キャッシュレス決済比率を倍増し、
> 4割程度とすることを目指す
とKPIを打ち立てています。
このキャッシュレス決済比率に関するKPIは
平成30年に閣議決定された「[未来投資戦略2017](https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2017_t.pdf)」で加えられたものですが、
当時の内容では
> 《KPI》今後10年間(2027年6月まで)に、
とあるので、2年前倒しになっています。(2018年度版も2027年6月まででした。)
消費税増税、オリンピックを控えて国としても特に進めていきたい事項なのでしょう。
上記の閣議決定によれば
電子決済・送金などのFinTech事業の新規参入を活性化させるための
法改正も進めていくようです。
```
※Fintech
Finance(金融) Technorogy(技術)を組み合わせた語。
技術によって生まれた革新的・破壊的な金融サービスの意味で用いることが多い
```
## 乱立するキャッシュレス しかし、多くの企業が参入を認めることによって 金融機関 = 銀行であった時に比べて 標準化と信頼の担保が危うくなってきました。 どれを使ったら良いかわからない、別のサービスを使っているから送金できない、 みたいなことが標準化で、個人情報流出などの問題が信頼の担保ですね。 そもそも決済方式自体がすでに複数存在しているなか、 QRコードは国全体のスタンダードを現金から動かすことはできるのでしょうか。 現在普及している決済方式をあげてみましょう。 ### QRコード決済 PayPayやLINEペイ、メルペイなど乱立し、今ホットな技術で 統一規格を作ろうろいう動きもあるようです。 先駆者のOrigami Payは大企業の資本力に押され気味でしょうか。 クレジットカードの普及が進まず現金への信用も薄かった中国では一気にインフラとなりました。 ### 仮想通貨 今は下火になりましたが、ビットコインに代表される仮想通貨もありました。 取引や送金だけでなく実際に決済できるお店も登場し、 暴落前までは次世代のスタンダードではないかと皆が注目していました。 最近ではFacebook主導のLibraという新しい仮想通貨もリリースを期待されています。 ### クレジットカード VISA、MasterCard、JCBのいずれか一枚は持っている方が多いでしょう。 最近ではAmericanExpressやUnion Payもよく見かけます。 カードによって限度額やサポートは異なりますが、 学生のうちから発行できるカードもたくさんありますね。 KyashというVISAカードを即時発行できる 電子決済・送金アプリもあり、カード発行自体のハードルはかなり低くなっています。 ### デビットカード。 銀行の口座残高から引き落とすプリペイドカードのようなものですね。 クレジットカードはどうしても一時的に借金をするため、 借金自体が嫌だ、支払日にお金があるか考えたくないという方が使っている印象です。 クレジットカードとデビットカードの両方を一枚にまとめた一体型というのもあります ### インターネットバンキング インターネットバンキングという言葉が一般的になって 実店舗をもたないネット銀行も出てきました。 もちろんレジでの支払いには使えませんが、 銀行振込や送金はATMやコンビニにいかなくても、ネットにつながればどこでもできます。 ### 電子マネー 基本的にあらかじめお金をカードなどにチャージし、その額だけ使用可能なカードです。 クレジットカードと紐づけてオートチャージするものもありますね。 セブン&アイグループのnanacoカードやイオングループのWAON、楽天Edyなど お店ごとに発行しているものだけでなく、SuicaやICOCA、 *PASPY* といった交通系のICカードもこれに含まれます。 ## そもそも何で現金じゃだめなの? 維持・管理コストがかかるからです。 例えば、 - 奪われないように金庫がいる - いちいち数えないといけない - お釣りを用意しないといけない といったものですね。 帳簿と合わなくてお金が落ちてないか探す必要もなくなるわけです。 いわゆるペーパーレスと似たような類ですが、 完全キャッシュレスになるとかなり破壊的な変革でしょう。 ## まとめ 物々交換が面倒だから通貨が生まれ、 米や金貨が重いから紙幣が生まれたその次として お金を持ち歩くのが手間だから電子決済の時代が来ています。 最近は物々交換や米の現物取引をしているのを見かけないのを考えると 今はまだ実験的に運営している"現金お断り"で現金をおかない店舗や、 Amazon GOのようなそもそもレジのない店舗が これから増えていきそうです。 ## で、結局どのPayを使えばいいの? あくまで持論ですが、 マイナンバーカードに直接チャージできるようにすれば全て解決すると思います。
## 乱立するキャッシュレス しかし、多くの企業が参入を認めることによって 金融機関 = 銀行であった時に比べて 標準化と信頼の担保が危うくなってきました。 どれを使ったら良いかわからない、別のサービスを使っているから送金できない、 みたいなことが標準化で、個人情報流出などの問題が信頼の担保ですね。 そもそも決済方式自体がすでに複数存在しているなか、 QRコードは国全体のスタンダードを現金から動かすことはできるのでしょうか。 現在普及している決済方式をあげてみましょう。 ### QRコード決済 PayPayやLINEペイ、メルペイなど乱立し、今ホットな技術で 統一規格を作ろうろいう動きもあるようです。 先駆者のOrigami Payは大企業の資本力に押され気味でしょうか。 クレジットカードの普及が進まず現金への信用も薄かった中国では一気にインフラとなりました。 ### 仮想通貨 今は下火になりましたが、ビットコインに代表される仮想通貨もありました。 取引や送金だけでなく実際に決済できるお店も登場し、 暴落前までは次世代のスタンダードではないかと皆が注目していました。 最近ではFacebook主導のLibraという新しい仮想通貨もリリースを期待されています。 ### クレジットカード VISA、MasterCard、JCBのいずれか一枚は持っている方が多いでしょう。 最近ではAmericanExpressやUnion Payもよく見かけます。 カードによって限度額やサポートは異なりますが、 学生のうちから発行できるカードもたくさんありますね。 KyashというVISAカードを即時発行できる 電子決済・送金アプリもあり、カード発行自体のハードルはかなり低くなっています。 ### デビットカード。 銀行の口座残高から引き落とすプリペイドカードのようなものですね。 クレジットカードはどうしても一時的に借金をするため、 借金自体が嫌だ、支払日にお金があるか考えたくないという方が使っている印象です。 クレジットカードとデビットカードの両方を一枚にまとめた一体型というのもあります ### インターネットバンキング インターネットバンキングという言葉が一般的になって 実店舗をもたないネット銀行も出てきました。 もちろんレジでの支払いには使えませんが、 銀行振込や送金はATMやコンビニにいかなくても、ネットにつながればどこでもできます。 ### 電子マネー 基本的にあらかじめお金をカードなどにチャージし、その額だけ使用可能なカードです。 クレジットカードと紐づけてオートチャージするものもありますね。 セブン&アイグループのnanacoカードやイオングループのWAON、楽天Edyなど お店ごとに発行しているものだけでなく、SuicaやICOCA、 *PASPY* といった交通系のICカードもこれに含まれます。 ## そもそも何で現金じゃだめなの? 維持・管理コストがかかるからです。 例えば、 - 奪われないように金庫がいる - いちいち数えないといけない - お釣りを用意しないといけない といったものですね。 帳簿と合わなくてお金が落ちてないか探す必要もなくなるわけです。 いわゆるペーパーレスと似たような類ですが、 完全キャッシュレスになるとかなり破壊的な変革でしょう。 ## まとめ 物々交換が面倒だから通貨が生まれ、 米や金貨が重いから紙幣が生まれたその次として お金を持ち歩くのが手間だから電子決済の時代が来ています。 最近は物々交換や米の現物取引をしているのを見かけないのを考えると 今はまだ実験的に運営している"現金お断り"で現金をおかない店舗や、 Amazon GOのようなそもそもレジのない店舗が これから増えていきそうです。 ## で、結局どのPayを使えばいいの? あくまで持論ですが、 マイナンバーカードに直接チャージできるようにすれば全て解決すると思います。