INTRODUCTION

2022年11月22日、「第3回 CheerCareerAwards2022」が開催され、魅力的な採用活動を行っているベンチャー企業16社がさまざまな賞を受賞しました。
魅力的な教育・採用の仕組みや制度を持つ企業に贈られる「Best Culture賞」の中でも、「最優秀賞」に輝いたのが、「学生ミライを最優先に!!」「社長に採用権はない、働く仲間は自分で決める!」を掲げて全社での採用活動に取り組んでいる株式会社ミライユ。
ミライユのユニークな企業風土や採用の仕組みなどについて、代表取締役の岡田侑也さんに聞きました。

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「仕事=たのしいって当たり前」社会貢献性の高い事業を展開

株式会社ミライユは、2014年1月に創業した勢いのあるベンチャー企業。「社会貢献性の高い事業を行う」「No.1事業の運営を行う」を合言葉に、エッセンシャルワーカーに特化した人材紹介事業および求人メディア事業、マーケティング支援事業を展開しています。
「第3回 CheerCareerAwards2022」で「Best Culture賞 最優秀賞」を受賞したことからもうかがえる通り、ミライユは企業文化・風土に特徴のある会社。
「会社なんて学校でいい!!」「仕事=たのしいって当たり前でしょ!」「100人いれば100人違う」といったユニークな考え方をベースに、社員1人ひとりが社会貢献や自己成長を実感できる場であることを大切に事業を行っています。

ビジョンは社会と社員の「未来に選択肢を増やす」こと

そんな企業風土が表れたミライユのビジョンは「ミライに選択肢を」。代表取締役の岡田さんは、この「選択肢」には3つの意味が込められているといいます。
岡田岡田さん
1つは、働きたいけど働けない『就職マノリティ』の方の選択肢を増やすということです。具体的には、シニア層や正社員経験がない若者へのキャリア教育や就業支援を通して、未来の選択肢を増やしたいと考えています。

2つめが、社会にとって必要不可欠であるにもかかわらず、少子高齢化で働き手が減っている職種・業界の未来の選択肢を守ることです。私たちの事業領域でいうと、タクシー業界や警備、物流、飲食などのいわゆる『エッセンシャルワーカー』の支援にあたります。

それによって、『当たり前に安全が守られたり、当たり前においしいものが食べられたりする世の中を守っていこう』という取り組みです。

3つめは、ミライユの社員の選択肢を増やすことです。私たちは『メンバーの選択肢を増やす』ことを、企業理念の中で明確にうたっているんですよ。
社員1人ひとりが自分らしくいられる場所であること、メンバーの「やってみたい」という思いを大切にしているからこそ、社会に対してだけでなく、社員に対しても「選択肢を増やす」ことを理念として掲げているのです。

「想い」のある若者に「力」をつける場を提供したい

そんなミライユの企業文化は、採用のスタイルにも表れています。採用理念は「社員の将来の選択肢を最大限に増やす」こと。しかも、社長や人事ではなく、現場で働くメンバーが採用権を握ることで、「働くメンバーは自分たちで決める」を実践しているのです。
こうした採用スタイルのベースには、「『想い』のある若者に『力』をつける場を提供することが、社会貢献につながる」という考えがあります。
「『力』をつける手段のひとつが、自分でサービスを作ったり、一緒に働くメンバーを自分たちで決めたりすることだと思っているんです。メンバーが全部自分たちでやっていけるように、支える・教えるのが会社や社長の役割だと考えています」と岡田さん。
現場のメンバーに積極的に権限を委譲するミライユの経営スタイルの背景には、会社員時代の岡田さんの苦い経験がありました。
岡田岡田さん
私は大学卒業後、前職の1社を経験してミライユを創業しました。会社員時代を振り返ってみると、『こんなことやりたい』『自分のチームをこんな風にしたい』といった、『想い』は人1倍強かったという自覚があります。

ただ、23~24歳という年齢でマネジメントをしたときに、『想い』ばかりが空回りして、退職者をたくさん出してしまったという出来事がありました。自分では正しい価値観を持っているつもりだったのに、視野が狭かったせいで意思決定を失敗してしまっていたんです。この経験から、人間は『想い』が強ければ強いほど、自分に『力』がないせいで幸せにすべき人を守れなかったときに、大きくストレスを感じるのだということがわかりました。

新卒のときはみんなキラキラした『想い』を持っていても、今の社会はそんな若者をサポートしきれていないのが現状です。『力』をつける場がないから、みんなが夢を諦めたり、目標を下方修正したりして、徐々に折り合いをつけるようになっていくんですよね。

自分が過去に苦しんだのは、『想い』はあったのに『力』がなかったからです。『想い』のある若者を集めて『力』をつける場を提供して、正しい『想い』、正しい『力』を世の中にアウトプットできるようにすれば、中長期的には大きな社会貢献になるのではないかと思うようになったんです。

現場に採用権を委譲、一緒に働くメンバーは自分たちで決める

ミライユでは、創業当初から現場のメンバーの意見を尊重して採用活動を行ってきたそうですが、採用権を完全にメンバーに委譲したのはここ2~3年の出来事。以前は、内定の最終判断は社長である岡田さんが行っていたといいます。
一般的な企業であれば、メンバーに採用権を完全に渡すなんてなかなか考えられないことですが、ミライユのメンバーは権限委譲をどのように受け止めているのでしょうか。
岡田岡田さん
最初から『自分たちの会社を自分たちでつくる』『一緒に働く人を自分たちで決める』というコンセプトなので、ほかの会社であれば驚かれるようなことも、ミライユでは“普通”になっていますね。

今は、『ミライユってこんな会社だよ』と私が直接伝えて採用したメンバーが事業責任者をやっていて、採用の意思決定権を握っています。採用権を渡すと伝えたときも、まったく違和感なく受け入れられました。
トップに聞いた!ミライユが実践する“価値観軸”の採用とは?~「想い」のある若者に「力」をつける場を

採用権の委譲で入社後ギャップを解消

採用権を現場に委譲してから、採用あり方に変化はあったのでしょうか。採用権の委譲後に入社してきたメンバーは「入社後ギャップ」が少ないといいます。
岡田岡田さん
仕事を辞める理由のほとんどが、『入社前に思っていたのと違う』というギャップだと思います。

組織が大きくなってくると、社長が現場感覚を持つのは難しくなってくるのが現実です。ですが、現場が採用権を持つとなると、「来年から自分たちのチームに加わる人を一緒に決める」という感覚なので、いいところも悪いところもすべて伝えて、理解してもらったうえで入社してほしいという想いが強くなります。

候補者にとっても、現場のメンバーが相手のほうが現場の生々しいことや、マイナス面も聞きやすいでしょうし、こちらとしても伝えやすいです。現場のリアルがダイレクトに伝わるからこそ、メンバーが採用した社員は離職率が低いんです。それは、採用する側にとってもされる側にとってもメリットになっていると感じますね。

採用スタンスが浸透しているから現場に任せてもうまくいく

ミライユのように、現場に採用権がある企業は非常に珍しいのが現実です。現場への権限委譲にはリスクもありますが、ミライユの採用活動がうまくいっているのはなぜなのでしょうか。
それは、現場のメンバーが社長の考えや意図を理解していることが大きいそうです。創業以来、ミライユでは会議室のような閉じた空間で面接をしたことがなく、ほかの社員もいるオープンスペースで面接を行ってきました。
だから現場のメンバーも、岡田さんが「いくら当社に来てほしいと思っても、その人にとってミライユが最良の選択肢じゃなければ採用しない。ミライユよりもその人に合う会社があるなら、他社に行ってそこで活躍してほしい」と語り続けてきたのを聞いていて、採用に対するスタンスをわかっているのです。
岡田岡田さん
彼らもキャリアドバイザーという仕事をやっている以上、このスタンスはブレないですね。この概念さえ握っていれば、実際のオペレーションは結局似たようなものになるんだなというのは見ていて感じます。

私が大事にしている考え方は『現場のメンバーが自分たちで考えて自分の意思で選択できる』ことなので、採用のフローやルールはあまりテンプレート化せずに、現場に任せている部分が多いです。
トップに聞いた!ミライユが実践する“価値観軸”の採用とは?~「想い」のある若者に「力」をつける場を

採用で重視するのは「ミライユの価値観とマッチするか」

ミライユでは「社員全員が人事!!」を掲げていて、採用の最終判断は現場の責任者がするものの、社員面談には社員全員がランダムで登場するというスタイルをとっています。
社員面談では「自然体のミライユを見てもらう」ことを大事にしていて、事前に準備したメンバーではなく、当日リフレッシュスペースに休憩やランチをとりにきたメンバーからランダムに複数人をピックアップするそう。そうすることで、ありのままのミライユの姿に対して学生が共感できるかを見極めているといいます。
こうしたミライユの「全員人事」の採用活動は、学生から驚きをもって受け止められることも多いとか。
ミライユの選考フローの特徴として「会社の説明をほとんどしない」ということが挙げられます。2023年4月に入社予定の学生の中にも、ミライユの事業内容を詳しく知らない人がいるというほど。それは、事業内容の説明よりも「価値観がマッチするかどうか」に重点が置かれているからです。
岡田さんはミライユの選考フローについて、こう語ります。
岡田岡田さん
説明会で会社の説明があって『あなたはこの事業をできますか?』という問いかけをされて、学生が『やれます』と答えるような感じで、会社主導で選考が進んでいくのが一般的です。

ところが、私たちは『あなたはどういう人なの?』というのをひたすら聞き続けていくんです。そのうえで、その学生を受け入れられるかどうかを“その人軸”で判断するので、学生からは「そんなにこっちの話を聞くの?」と驚かれることも多いですね。

徹底的なヒアリングで学生にも「正しい選択肢」を提供

「自社の選考に参加してくれる学生にも『正しい選択肢』を提供することを大事にしたい」という岡田さん。それゆえに、事業説明の前に必ず学生の原体験をヒアリングするそうです。
岡田岡田さん
就活の軸を聞いても自己分析がうまくできていない学生がいるので、これまでの経験などをたっぷり1 時間かけて聞いて、一緒に就活の方向性を決めるみたいなイメージですね。

ヒアリングをして『うちじゃないな』と感じたら、『ここ受けてみたら』と他社を推薦することもあります。

この採用スタイルは時間がかかりますし、人手もスキルも必要なので、以前は私しかやっていませんでしたが、今は人事も事業責任者たちもできるようになっています。

それによってさばける数が増えたのはもちろん、それぞれの学生の志向に合った人が自分の言葉で語ることで、さらに当社への入社意向が上がり、採用成功率も上がっていくと考えています。実は、感情論ではなく、あるべき姿からテクニカルに逆算して採用プロセスを設計しているんですよ。
こうした「全員人事」の取り組みで良かったこととして、岡田さんは「理念浸透」を挙げます。
岡田岡田さん
社外の人に自分の会社について話す経験をみんながすることで、理念の浸透につながっています。それぞれの社員が自分の言葉で会社について語ろうとすると、結局今自分は何のために仕事をしているのかを自問自答することになりますから。

去年ビジョンや理念を刷新したのですが、全員で人事をやることで、一気に新しい理念が浸透した感じがしています。結果的に離職率も下がっていますね。
トップに聞いた!ミライユが実践する“価値観軸”の採用とは?~「想い」のある若者に「力」をつける場を

コロナ禍で採用・人材育成への考え方に変化も

「全員人事」の取り組みは、新しい世代をミライユのメンバーとして受け入れる「覚悟」にもつながっているといいます。
岡田岡田さん
23卒・24卒の学生は、コロナ禍のど真ん中で大学生活を送ることになってしまった年代です。思い出も十分に作れないまま学生生活が過ぎてしまったので、社会に対しての不安が強く、慎重なんですよね。

なので、この年代は会社選びの基準が『成長軸』ではなく『居場所軸』になっていると感じます。自分を受け入れてもらえるか不安な学生がすごく増えているので、ちょっと優しい言葉をかけただけで入社意向が上がるんです。

そういう意味では採用難易度は下がった印象がありますが、採用してからの責任はこれまでの比じゃないぐらい重いと思っています。この年代が置かれている状況を踏まえて、ミライユのメンバーが学生とコミュニケーションをとることで、メンバーの中でも、新しい世代を迎え入れる覚悟が定まったのではないかと感じています。
コロナ禍で社会の価値観が大きく変わったことによって、採用や人材育成に対する考え方にも変化があったそう。
岡田岡田さん
コロナ世代は、大学時代に社会とのつながりをうまくつくれなかった年代です。それを踏まえると、社会とのつながりや社員同士のつながりをうまく作れるようにサポートしてあげるのも、新卒を受け入れる私たちの責任なのかなと思っています。

この年代には、いきなりアウトプットを求めるというよりは、まずは社会とのつながりや仕事の面白さを感じてもらうことが大事なんでしょうね

自分の将来像と会社のベクトルが一致する人は成長が早い

新卒で入社後、すぐに活躍するメンバーも多いというミライユ。若くしてミライユで活躍しているメンバーの特徴として、岡田さんは「働く意味が定まっている」ことを挙げます。
岡田岡田さん
自分の将来像が明確でなくてもいいのですが、自分の将来像と会社の成長のベクトルが合っている人、自分の成長と会社の成長がうまく連動している人は頑張れるし、結果も出せます。

『会社のために』というよりは、『自己実現の手段が会社』『自己表現の場が会社』という人は、自分のために頑張れば会社からも評価されるので強いですよね。

ただ、私たちは成長速度が速いことが『正義』だとは思っていないので、成長速度が速い人がいても、遅い人がいてもいいと思っています。

もし自分の働く意味が定まってないメンバーがいれば、じゃあその人が幸せになるために何をするべきか、時間をかけて見出していくようなイメージです。成長速度が遅かった人も、働く意味さえ定まってしまえば、そこから一気に伸びてくることも多いですから。

求めているのは「多様性享受力」のある人

ユニークな採用活動を行っているミライユですが、具体的にどのような人を求めているのでしょうか。そのキーワードのひとつが「多様性」だといいます。
岡田岡田さん
当社の採用要件のひとつでもある、『多様性享受力』というパラメーターをすごく重視しています。つまりは、他の人の意見を『違う』前提で受け止められるかどうかです。

私たちの採用ターゲットのひとつに『変わった人』というのがあります。今っぽく言えば『マイノリティ』だと思っていて、『変わってるね』と言われると『ありがとうございます』と言える人を求めていますね。つまりは、自分が少数派であるという自覚を持っていて、そのことに誇りを持てる人たちです。

なぜマイノリティを採用ターゲットにしているかというと、マイノリティは、自分の意見が世の中の意見と違うことを自覚しているので、対立意見に対しても否定せず、一旦受け止めてから建設的な議論に発展させられるからです。

『自分の考えが世の中の考えと違う』という自覚がある人は周りの意見を聞けるので、成長が早いんですよ。

世の中から「就職マイノリティ」をなくしたい

会社としての今後のビジョンについて、岡田さんは次のように語ってくれました。
岡田岡田さん
1番は『就職マイノリティ』をなくすことです。その言葉自体、私たちが作った造語で、就職したいけどできない人を『就職マイノリティ』と呼んでいます。中長期でやりたいことは、この言葉を世の中から消すことですね。

そのためにやるべきことが2つあって、ひとつは『就職マイノリティ』を定義して、その人たちを支援する事業を作っていくことです。障がい者の方や、セクシャルマイノリティの方かもしれないし、シングルマザーやシングルファーザーの方かもしれません。

そしてもうひとつが、私たち自身が『就職マイノリティ』の受け皿になることです。『5年間で1000人採用計画』を立てているのですが、その過半数は『就職マイノリティ』にしようと考えています。障がいがある人や、うつ病を患った経験がある人も受け入れたいと思っています。

さらに受け皿をどんどん広げていって、それをフレームワークにして、世の中に『こういう人たちも受け入れられるよ』ということを示すのが、次に私たちが実現したい世界観ですね。

『選択肢を増やす』というビジョンから逆算して、『じゃあ今何する?』という議論をして、会社を変えていくというのが私たちのやり方です。
最後に、岡田さんは学生に向けてこんなメッセージを贈ってくれました。
岡田岡田さん
学生さんにはいつも『もう君たちはコロナ禍の中、十分頑張っているので、“ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)”なんていらない。コロナでも就活しようと思ってます、とでも書いておけばいい』と言っています。

私たちは本当にそう思っています。だから気軽に1度ミライユに来てください。

おわりに

「社員の個性や自主性を尊重する」―そう謳っている企業は多いですが、ミライユの場合、単なるお題目ではなく、それを実践するための組織風土や仕組みができていることが印象的でした。
ミライユでは、1人ひとり違う社員の個性や考えを受け入れることが「特別」なことではなく、「当たり前」のこととして浸透しているようにも思えます。そんなミライユはまさに、これからの時代に求められている企業なのではないでしょうか。
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記事監修