大戸屋のはじまりは1958年、先代の三森が池袋に出店した「50円食堂」。
そして跡を受け継いだのが、前会長の三森。
先代が他界し、店を預かることになった彼は
「店を発展させることが、最大の恩返し」と、1983年5月に株式会社大戸屋を設立しました。
日本は1970年代から飲食業界が産業化し、
大手ファーストフードやファミリーレストランが続々と進出。
その当時、「定食屋のチェーン化は不可能」と叫ばれていましたが、三森は決して諦めなかった。
小さな食堂はいまや、国内約300店舗、海外約80店舗を展開するまでに成長しています。
私が大戸屋に入社したのは、今から17年ほど前のこと。
もともと大学を出て流通会社に就職したものの、3年であっさり退職。
目的意識も持たず過ごしていた私を怒鳴ってくれたのが、親戚であった三森でした。
そこから、私の大戸屋での人生がスタート。
「もう後はない。腹をくくってとことんやろう」
現場で長年マネジメントを学び、社長の職に就きました。
2011年3月11日。
あの東日本大震災を機に、私たち日本人の多くは「失ったもの」を深く考えさせられました。
そして、「自分には、何ができるのだろう?」とも。
私は、日本が経済発展の歴史の中で失ったものの一つが「食文化」だと考えます。
東京五輪開催が決まった今こそ、それを取り戻す時期。
震災時に暴動一つ起こさなかった日本人は「素晴らしい民族」という誇りを持つべきだし、
私は誇りを取り戻すための力になりたい。
しかし大きなことを語っても、人は自分のいる世界で頑張るしかないのです。
スポーツ選手は日の丸を背負って「頑張れ、東北」と言った。
ならば、私は「定食」に集中し、人のお役に立つための努力を続けよう。
一過性の流行ではなく、日本人の知恵が詰まった「定食」文化を世界に発信し続ける。
その使命の下に、全力を尽くします。
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